カテゴリ:prose poetry(散文詩)( 217 )

熱を帯びる

一、方法

いつも使っている水道で手を洗う
思った通り今日は水が冷たく感じる

いつも聴くお気に入りの歌を流す
思った通り今日はその歌がスロウに聴こえる

日常と違う蛇口をひねれば
初めて聴く歌を耳にすれば
それはそういうものなんだと思うに過ぎなかっただろう

いつもの行為だからこそ
覚えた違和感が教えてくれること

今日は体温が高い


二、回想

予感は結果より随分先に訪れる
体温計にはまだ現れていない

首の内部だけが熱を帯びてくる
体温計にはまだ現れていない

「資格が無くても資格保有者よりしっかりしている」
そんな戯言は呆れるほどに苦しい笑い話だけれど

体温計にまだ現れてくれなかった体の熱さを
担任に訴えることができなかったもどかしさを思い出した

今日は体温が高い


三、拍動

歌がスロウに聴こえる現象は
拍動の速さと関係がある気がする

これが正であれば
僕が愛する疾走感のある歌は
彼にとってミドルテンポかもしれないし
甲高い彼女の声が
他人の耳には心地よいトーンなのかもしれない

「いいね」と共感し合っていたのは
同じ対象に対して違う印象を抱いていたのかもしれない

嗚呼いろんな考えが頭をめぐって整理がつかない、なぜなら

今日は体温が高い

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by gallery_isolate | 2017-05-16 17:57 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

頭の音から根を探す

頭の中でざわざわと音がするなら
ペンを手に、その音を文字で表してみよう

ざわざわと音を立てていた
葉っぱの姿が表れてくるだろう


単に散らばっているように見える葉を
感じ取った法則のままに並べてあげよう

整理された葉の隙間から
枝や幹の姿が現れてくるだろう


見えてきた幹から視線を落として
根っこの存在を感じてみよう

頭の中の音は消えて
あなたの心が洗われていくだろう

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by gallery_isolate | 2017-05-12 22:00 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

自分第一の花

風向きだけを条件に
なりふり構わず移り棲み

名前を踏み台にして
都の高みに登り詰めたら

正義の味方のふりをして
自分の味方を増やし続け

正義のためだと旗振りをして
真逆の信号を発信する

その花は緑色の絵の具で
灰色を黒く塗り潰すんだ
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by gallery_isolate | 2017-05-10 19:59 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

青の不思議

曇り空から始まったある日のこと

午後からの思いもよらぬ晴天に心が躍り
我が子を思い切り高くあげ
青空を背景に写真を撮りました

これまでで一番の出来ともいえる写真を見ながら
ふと不思議に思ったことがあります


悲しみや冷たさを連想させる青色が
どうして幸せを演出できたのだろう


同じ絵の中に魔女と少女が描かれただまし絵のように
この空の青も、その見方によって悲しみの青になるのでしょうか

だとしたら
悲しみの青も、その見方によって幸せの青に変えられるといいですね

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by gallery_isolate | 2017-05-08 18:08 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

人といる居場所

人には、人といる居場所が必要なのだろうと思う


ひとりでいることが好きだ、という人は
自分と相性の合わない人と過ごす時間が苦痛なのだろう

その苦痛を避けたいことを、「ひとりでいることが好きだ」と括ってしまっているのだろう

自分と相性の合う人といる場の居心地の良さを知らない人は、その必要性を想像できないかもしれない


しかし、だ

世を動かす循環について考える

例えば人間の生命活動に最低限不可欠な衣食住について考えても
ひとりで成し得ることなど何も無いと言って過言ではなく

そんな生物が、ひとりでいることだけを選んで生きていくと、
世を動かしている循環を遮り、全体の調和を崩すことは明らかだろう


さらに、孤独でいる決意の意味について考える

生まれた時、優しく母に抱かれるように、死ぬ時もまた誰かに手を握ってもらえなくてよいのか

たとえたったひとり愛せる人でも、せめて喧嘩相手でも、自分の存在を認識する人が誰ひとり存在しなくていいのか

そのことを理解してなお、ひとりを好きでいることを極めようというのか


ひとりでいることが好きだ、と思い込んでいる人へ

少しの苦痛を伴っても自分と相性の合う人と出会うための努力をしてみてはどうか

どうしてもその場所の居心地が悪ければ、もう行かなければいいだけだ

自分以外の人と認め合え、褒め合え、笑顔を分かち合えた時にきっと実感できるはず

人には、人といる居場所が必要であることを
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by gallery_isolate | 2017-05-06 03:40 | prose poetry(散文詩) | Comments(2)

ボールでは無機質

その場所では、
個が個のまま存在し、自分のための話で溢れている

たとえ自分のためであっても、
誰かに振り向いてほしいと声には出さないにしても、
一本でも多くの親指が立てば嬉しくなるものだ

ただ現実は、
僅かな時の間にも水が溜まり、
時系列の川に数多の話が洪水のように流れてくるから、
個は、別の個の話を読み流すだけでも必死になるだろう

今日は、その激流の中から自分という水をいつも掬い上げてくれる両手に
日頃からの感謝を伝えてみた

その言葉すら下流に流れてしまうかもしれない、
そんな覚悟すらしながら気持ちに正直に伝えてみた

ただ現実は、
予想だにしなかった温かな言葉が真正面から返ってきた

流れ去るどころか、激流の中に凛と立つ思いを以て、
この心の芯に強さをも与えてくれた


二者間のやりとりを「言葉のキャッチボールだ」と例えることがある
しかし、今日のやりとりはボールという無機質なものでは例えたくなかった


感謝の気持ち、気持ちが紡いだ言葉、言葉が導いた強さ
これは、個が個のまま存在し、個のための話が溢れる場所で、
相手の個を思い、「言葉の花束を贈り合った」

そう表現する方が、実感をよりわかりやすく遺せる気がするんだ

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by gallery_isolate | 2017-05-02 18:09 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

20170429

224日ぶりに音楽の現場に遭遇した。

6人で奏でる17時のステージは、

繁華な通りを7色でさらに賑やかにしていた。


人に100という感情のキャパしか与えられていなかったとしても、

僕は100の楽しみと100の羨ましさという、

合わせて200の感情を確実に抱いていた。


7030という音楽が、

この地を超えて、100,000,000人に届きますように。


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by gallery_isolate | 2017-04-29 19:52 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

一人じゃないよ

一人じゃないよ
みんながいるよ

私ならこんな言葉では
励まされたくないから

あなただけが一人じゃないよ
みんなそれぞれ一人なんだよ

もし励ます場面になれば
この座標から出発したい
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by gallery_isolate | 2017-04-23 02:55 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

無意識で培う力

何かしらの強みは欲しいけど継続や努力が苦手なそこのあなた。

実は、簡単に身につけられる力があることを知っていますか?


そのトレーニングはとてもシンプル。

周りを気にせず、自分が正しいと素直に思い続けてみてください。


それだけで、

相手の性格を決めつけて押し付ける推進力や、

その持論を以て相手を詰め寄る攻撃力、

抵抗されても譲らない防御力が身につきます。


筋力のように目に見える力は、目に見える努力で培われますが、

(自分なりの)権力や言葉の力のように目に見えない力は、知らない内に育ってくれますよ。




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by gallery_isolate | 2017-04-21 12:49 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

4コマ漫画「おとぼけ課長」が連載終了とのことで、作者の植田まさし先生はこれから少しずつ仕事を減らしていかれるのかもしれません。
その淋しさを原動力に、今日のブログを書かせていただきます。


私は小学生の時から、家にあった植田作品が大好きで、これまで「かりあげクン」「まさし君」「のんき君」「おとぼけ課長」「きっぷくん」等、ほとんどの作品を読んでいます。

きっと幼かった頃は、あの独特なタッチの絵が好きで読んでいたようにも思いますが、漫画の舞台が大学や会社が舞台となることが多いことから、年齢を重ねるにつれて共感できる部分が増え、さらに手放せない漫画となりました。


突然ですが、植田先生の描く作品は「無駄の削ぎ落とし」を極めた芸術だと思います。

まず主な作風として選ばれている「4コマ漫画」自体、限られたコマの中で場面設定をし、ストーリーを生み、笑いを誘います。
これは、起承転結の最も明快な見本であるとも言えるでしょう。

そして、オチが完成するために必要最低限の絵と表現で描かれる植田ワールドは、独自の表現方法を生み出していきました。
有名なところでは、女性の髪に描かれる謎の模様。これは、髪全体が黒いことを簡略化の記号であると言われています。

そんなシンプルな絵を通じて描かれるのは、皮肉屋でいたずらっ子で、時々おとぼけな登場人物たち。
絵の背景だけでなく登場人物の表情すら無駄がない分、ひょうひょうとしたキャラクターを通じてオチの鋭さが磨かれます。

そうして創り上げられる植田ワールドは、数多ある4コマ漫画の中でも特に精度が高く、どのエピソードを見ても「クスッ」「ハハハ」もしくは「なるほど」のいずれかの反応が出てしまうでしょう。


無駄の削ぎ落としでいえば、植田作品では4コマ漫画の途中で挿し込まれる1コマイラストも大変秀逸。
常識を斜め上の発想で生きる、言わば「社会をなめた姿勢(心からの褒め言葉)」をユーモアというフィルタを通して描かれます。

言葉もストーリーもなく、1つのイラストだけで笑わせるのです。
(先程「植田まさし」をGoogleで画像検索すると、かりあげクンが「環境ホルモン」について取り上げた新聞記事を読みながら、カップ麺の中身を容器から出し、乾麺のままで食べているイラストでした笑)


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きっと、私が素直な表現を苦手としたり、王道を嫌ってしまうのは、植田イズムが無意識に染みついているからではないか、とすら思っています。

ぜひこれからも時にピリッと、時にほんわかで、時にシュールな植田まさしワールドを期待しています。
身近で触れられる芸術を皆さまもお楽しみください。



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by gallery_isolate | 2017-04-17 18:49 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)