未練

体から

放たれないまま

葉月の祝言

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by gallery_isolate | 2018-08-02 20:02 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

選択

今乗車しているこの路線に下り線などない

乗客は皆、そのことを知っているようで判ってはいない


そんな一方通行の旅で立ち寄る停車駅で時より

乗り換え車両が待ち受けている


ホームの向かいにあるその車両への接続を選ぶのか否か


今乗車しているこの路線に下り線などない

乗客は皆、そのことを知っているようで判ってはいない

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by gallery_isolate | 2017-06-06 19:31 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

人といる居場所

人には、人といる居場所が必要なのだろうと思う


ひとりでいることが好きだ、という人は
自分と相性の合わない人と過ごす時間が苦痛なのだろう

その苦痛を避けたいことを、「ひとりでいることが好きだ」と括ってしまっているのだろう

自分と相性の合う人といる場の居心地の良さを知らない人は、その必要性を想像できないかもしれない


しかし、だ

世を動かす循環について考える

例えば人間の生命活動に最低限不可欠な衣食住について考えても
ひとりで成し得ることなど何も無いと言って過言ではなく

そんな生物が、ひとりでいることだけを選んで生きていくと、
世を動かしている循環を遮り、全体の調和を崩すことは明らかだろう


さらに、孤独でいる決意の意味について考える

生まれた時、優しく母に抱かれるように、死ぬ時もまた誰かに手を握ってもらえなくてよいのか

たとえたったひとり愛せる人でも、せめて喧嘩相手でも、自分の存在を認識する人が誰ひとり存在しなくていいのか

そのことを理解してなお、ひとりを好きでいることを極めようというのか


ひとりでいることが好きだ、と思い込んでいる人へ

少しの苦痛を伴っても自分と相性の合う人と出会うための努力をしてみてはどうか

どうしてもその場所の居心地が悪ければ、もう行かなければいいだけだ

自分以外の人と認め合え、褒め合え、笑顔を分かち合えた時にきっと実感できるはず

人には、人といる居場所が必要であることを
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by gallery_isolate | 2017-05-06 03:40 | prose poetry(散文詩) | Comments(2)

雨が降らない空はない

​ドアを開けて微睡みに逃げ込む
光も眠っている夜中と朝の間に

環状線に揺られ運ばれる暮らしも
同じようにひたすら円を描いている

「生きる意味を探す旅」なんて特別じゃない
毎日を未来に思い出したら見えること

ビルの屋上に立ち 僕のいる街を見下ろしたら
儚くてちっぽけな命が動き回っていた


溢れ過ぎた言葉の雫たち
心に残すものを選べず溺れる人がいる

「正しさ」は世界が違えば その表情(かお)を変えるけど
真実は嘘が生まれない限り揺るがない

全て失いたい時や壊してしまいたい時がある
それでも目の前に立つ大切な人は信じていて


ふと自由になって 地軸の場所を見つめ直したら
思い出せる全てが 新しい色に染まり 心が震えた


雨が降らない空はない 優しさが生み出す雨もある
信じられるものを胸に ありふれた今日の弧を描こう


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by gallery_isolate | 2017-01-17 21:28 | lyric(詞) | Comments(0)

​七割どまりの幸せ

夏から秋へのグラデーションを感じ始めた9月の朝。

昨朝の雨を恨むことを忘れ、
少しずつ色づいていく視界を楽しみながら今朝を走っている。

建物も道路も公園も、鈍感な僕はそれ自体の変化は感じないが、
たった一つ、日々明らかに表情を変えて出迎えてくれる存在がある。

空だ。


今、建物の隙間から、
壮大なバラードを演出する照明のような陽の光が漏れている。

もっと開かれた空で見たい。
その一心で僕は、走る速度を上げ、いつもより手前で角を曲がり、
最寄り駅の西口から陽の光を臨む。

やはり壮大だ。
でも、もっと遠くから見たい。

走ろうと意識をしたことも覚えていない位、
気づけば西に向けて全速力で駆けていた僕は、
一つ目の横断歩道のところで立ち止まり、東の空を眺めた。

しかし、
数秒前を既に何段階も上書きしたような明るい空が
光の筋を完全に均してしまっていた。


それでも、
その景色に出逢い、その景色を追い求め、
その先の感動を想像できた。

思えば、この七割どまりの幸せを、
それでもありがたいことだったと思えるかどうかの積み重ねが、
いずれ幕を閉じるその時に幸せな人生だったと思えるかどうかを
心に残していくのではないだろうか。


そんなことを考えながら、時間と共に戻ってきた夏の中、
いつもの「今日の走り」に戻った。


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by gallery_isolate | 2016-09-29 12:59 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

真赤な作家

変化は退化
効果は悪化
感化も鈍化
硬貨も酸化

戦火は軟化
劣化で降下
愚かな短歌
単価も低下

昨夏の高架
引火の結果
真赤な作家
月下に献花
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by gallery_isolate | 2011-07-31 12:04 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

曖独拓掌

初めて、自分のために筆をとったような気がする。

大学時代も、成長のために書道を練習していたのには間違い無いが、
そのモチベーションには違う力も働いていた。

今日は違う。

自分は何故生きているのか、自分は何にとって必要なのか、
自分は何を欲しているのか、自分は何故自分なのか、

しばらく、そんな考えが頭を巡り続けており、
正直疲弊している、というのが情けない本音である。

できれば、痛みもなく害も発生しない破滅をもって
全てを終わらせられたら、というのも弱虫な本音である。

声に出さない自問自答に飽きを覚えて
救いを求めるように思い立ったのが書道である。

全てが無我夢中だった。
何の迷いも無く五體字類を購入し、
何の迷いも無く心に思いつく字を書き続けた。

「曖独拓掌」

全くの造語であり、読み方もわからない。
五體字類を手にした瞬間にこの四文字を書かなければ、
そう感じたのだ。

ただ、5年ぶりに筆を触った身体は字の書き方を忘れており、
自分を見つめ直すには至らなかった、というのが本音である。
ただ、筆の柔らかさ、墨汁の匂い、唯一の集中、
その全てが心地よく、解決なくとも気分がやや晴れたのも本音である。

今日は完全に逃げるための書であったが、
これからは前に歩むための書にしていきたい。


そもそも何故人は生きるのであろうか。
生物の活動とは、本来生きるための活動ではないのか。
だからこそ、食物連鎖は起きるし、防衛本能もある。

それなのに人は、人が作り上げた社会という環境に束縛され、
そこで「生きる」ことが容易に達成できてしまうだけに
生命への喜びを忘れ、自分の外部や内部が生み出す苦しみに、
新たな生き辛さを感じている。


そのようなことを考えつつも、生きていかなければならない。
そう、前に進まなければならないのだ。

曖昧な意義の中を、誰にも頼ることなく独りで、
自らの掌で明日を切り拓いていかなかればならない。


本能が、自分自身にそう伝えたかったのかもしれない。

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by gallery_isolate | 2011-07-14 11:32 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

公道にて

赤信号を前に、どうして僕は渡らなかったのだろう

考動と行動が、一致しなかった僕がいる



-世の中に『正しいこと』などない。

車さえ来なければ『赤』でも渡っていいはずで

『身の危険がない』という問いを

崩せる論理はどうにもなくて


でも、向かい側の歩道に、今、

小学生が5人、止まっていて

『あるべきタイミング』を今か今かと待っていた


いつもなら何も思わず通過する

赤信号を前に、どうして僕は渡らなかったのだろう

青のランプが光るまで、待ち続けていた僕がいる


この時、論理を越えた『何か』が働いて

考動と行動が、一致しなかった僕がいる
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by gallery_isolate | 2010-02-13 10:43 | prose poetry(散文詩) | Comments(2)

雄姿

その綺麗な両瞳で

前だけを見つめていた

その胸にある志は

着実に光を浴びて

もう一つの人生の

歩みすら引き寄せて

さらに眩しい道へ今

向かえる道を祝う
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by gallery_isolate | 2010-02-04 00:17 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)

章話・時代

同じ時間の流れの中で

あるところでは人に幸せが訪れているし

同じ時間の流れの中で

あるところでは人に悲しみが訪れている


そんな「時間の流れ」に乗って

一日に一本、皺が刻まれていそうな

僕の祖父の顔に備わっている

声が発せられる口というその穴からは

一日に一分、長くなっていそうな

昔話が聞こえてくる


一日に一㌔、遠くなっていそうな

視線の先を見つめながら

一日に一㌍、弱っていそうな

音と息を吐き出している


物語でいう最終章に近づいた今、

記される文字は第2、3章辺りの繰り返し

芸がないのではなく、それは、

何度語っても足りないことを表している


僕が自伝を記す中で

同じように毎日皺は増えよう

同じように毎日呼吸は弱ろう

しかし、一体、その最終章で僕は

何を、語れるというのだ
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by gallery_isolate | 2010-01-17 22:45 | prose poetry(散文詩) | Comments(0)